知ってるつもりで実は知らない「炭水化物」Q&A

ここ数年、とくに肩身の狭い思いをしている「炭水化物」。
炭水化物とはどんな栄養素で、カラダにとってどんな働きをするのでしょうか。
素朴な疑問を渡邉先生に伺ってみました。

炭水化物と糖質は同じもの?

「食品ラベルの表示を見ていただくとわかるように、炭水化物は“糖質”と“食物繊維”に分けられます。
体内に消化吸収されて血糖値を上げる糖質に対して、食物繊維は消化吸収はされません。ただし、食物繊維には脂質の吸収を抑えたり腸内環境を整えたりする働きがあるほか、血糖値の急激な上昇を抑える働きも注目されています。」(渡邉先生)

血糖値を上げる糖質と、急激な血糖値の上昇を抑える食物繊維。
身体にとって大切なエネルギー源となる血液中のブドウ糖も、上昇が急激すぎると血管への負担になってしまうので、緩やかに吸収させる食物繊維と一緒に摂ると良いと言われています。
不足しがちな食物繊維はむしろ摂取を心がけたい栄養成分で野菜やきのこ、海藻などに多く含まれます。
糖質やコレステロールの余分な吸収を抑えるだけではなく、満腹感を得られます。

糖質はカラダにどういいの?

三大栄養素は、「たんぱく質」「脂質」「糖質」です。
たんぱく質は、筋肉や骨、皮膚、血液、酵素、ホルモンなどカラダのすべての部分を作ることに関係する栄養素です。
脂質は、カラダを動かすエネルギーで体温を保つ役割やホルモンの原料となったり、脂溶性ビタミンの吸収を助けるなどの働きも担います。
糖質は、何かと目の敵されてしまいがちですが「炭水化物」に含まれていて、じつは速効性のあるエネルギーで、一般的に1日に必要なエネルギー量の約60%を炭水化物から摂っているともいわれます。
糖質(ブドウ糖)は、脳にとって唯一の即効性の栄養素で、極端に摂取量を減らしてしまうと集中力や気力の低下につながることがあります。

上手な糖質制限のポイントは

「上手に糖質を摂るポイントは、①どのような糖質を選ぶか ②どう摂るかです。
とくに避けたいのは清涼飲料水などに多い異性化糖で、摂ったあとに血糖値は急上昇し、その後急降下します(血糖値スパイク)。
血糖値は急激に下がるとまた糖質を摂取したくなるループが繰り返されてしまいます。ビタミンや食物繊維など必要な栄養素が含まれないのに血糖値スパイクだけを作るような糖質は損です。
一方で米であれば、特に玄米のような精製していない性状であれば、食物繊維やビタミン、ミネラル、といった身体の調子を整える栄養素も一緒に摂れます。
摂り過ぎに注意しなければいけない糖質だからこそ、栄養になる「良い糖質」をしっかり選んでください。」(渡邉先生)

更に必要となるのが、血糖値を急激に上げない工夫、どう摂るかです。
まずは空腹時にいきなり糖質から食べないこと。
食物繊維と一緒に、またはできれば糖質摂取の前に食物繊維を摂取することが有効です。
食物繊維は糖質の吸収を穏やかにすることをご紹介しましたが、サラダなど野菜から先に食べる「ベジファースト」を心がけたり、白いごはんは玄米に、白いパンは全粒粉のパンにしたりと食物繊維の多い食材に置き換えるのも効果的です。
よく噛んでゆっくり食べる、食べ方も非常に大切です。

今回、お話を伺った先生

東京ミッドタウンクリニック
特別診察室長/外来診察部長 日本抗加齢医学会理事・内科医師
渡邉 美和子 先生 (Miwako Watanabe)
日本抗加齢医学会、日本内分泌学会等医学学会での医療従事者を対象とした食啓発をはじめ、企業との健康関連事業への取組み等、独自の食指導「安心で美味しい食の医療プロジェクト」に力を入れる。

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